親父の浮気。

最近父親が釣りの際にうっかり足を滑らせてしまい

テトラポットから数メートル下の海面へ落下したとの知らせを受け

肝を冷やした俺。

なんとか無事に生還できたからよかったものの

次からスパイク付きの靴を必ず履いて行くようにと強く念を押した。

その際に、買ったばかりのサングラスと、携帯を海に落としてしまったらしく

代わりに新しい携帯を買ってホクホクののんきな俺の父親。

最新機種はどうもよくわからないとメールの打ち方を真剣に俺に聞いてきた。

そして次の日には絵文字と写メール添付をマスター。

それから俺と親父は結構頻繁にメールを交わすようになった。

メールをするようになって数日後。

親父から夜、メールが入った。

『会いたいよ･･････愛してる･･････明日は飲みに行くからね』

一瞬目を疑った。

俺は否定しながらも、現実を冷静に分析するよう心がけた。

と言うか、心がけなくても分かるだろ。

いくらなんでも娘にこの言葉は無い。

そっか･･･親父は飲み屋の先の女性と浮気してるんだ。

メール初心者ではありがちな事。

昼休みに本当の意味を理解するように、何度もメールを読み返すうちに

変わらない現実に少し吐き気がした。

こんな事知りたくなかったなぁ･･････誰に話したらいいの？

誰にも言える訳ないだろう？

俺もいい年なんだし、浮気話、不倫話の一つ二つくらい別に驚かないし

なんとも無いけれど、

身内は正直きっついなぁ･･････。

なんだかね、俺に一生懸命メールくれてたのも、

結局その人に送る為のカモフラージュだったのかな、なんて

少し裏切られた気分になったな。

母親の話だと、なんか静かだなと思ったらテラスで真剣にメール打ってるんだよ？

お父さんてば＾＾、って。

俺がしょっちゅうお父さんからメールがくるんだよ？って話したら少し嬉しそうに、呆れたように。

そのお母さんの微笑みは何処に行ったらいいの？

ムカついた俺は返信した。

『誰に送ってるの？ガタガタ言うつもりは無いけど、ちゃんと考えなね』

数分後、父親から返信が入る。

文面に慌てふためく姿が映る。

いつも使ってくる絵文字は一切無い。

『今変なメールがはいりそのまま送り返したところ

まちがってlushへ送ってしまった。ごめん　きもちわるい』

吐き気がした。

一番可愛そうなのは母親だ。

そして、同時期に発覚した親子の浮気、不思議な共通。

程度の差はあれど、している事に違いは無い。

俺は、自分自身を見直そうと強く思った。

暫く俺の中のモヤモヤは消えそうにない。

･･････暫く、ならいいけどな･････。

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