祝福＜辛い気持ち

今日、休憩時間に事務所に入ったら、先月結婚したばかりの俺より４つ下の彼が居た。
来月の末に嫁の所へ行きたいので飛行機の手配をしてほしいと。

俺が行った時はすでに彼はいて、話の途中だったが内容はすぐわかった。



「まだ二か月なんだけどね＾＾」



俺は心臓をぎゅっと握られる思いがした。



そう、彼に子供ができたのだ。


まだ黒い点でなんだかわかんないんだけど、と嬉しそうに話している彼の眼を俺は見れなかった。
祝福しなければいけないのに、俺の心は見事にそれを裏切っていた。
休憩が終わってからもその言葉が頭の中を占領していた。

できちゃった婚になるけど、ダイレクトに聞いたわけではないが事務員さんがすごく長く付き合っている
二人だったと言っていた。


……。

……俺達だって……。


俺達がいくら夢見ても叶わない夢を、また嬉しそうに抱えて走って行った。

俺だって。

俺だって。



帰りの車の中、追越し車線から次々と速い車が追い越していく。
俺の気持ちと同じだ。
涙は出ないけれど、心は沢山泣いていた。


Snow？
Snowは大丈夫？
俺は、結構ダメージきてるわ。
現実を突きつけられるよ、同性同士なんだって。

Snow、ごめんね？



汚い俺は、男と女の夫婦でも子供ができなくて悩んでいる人達とどちらが辛いだろうか？
なんて、自分よりなんとかつらい立場の人間を作り出そうと様々な可能性を思い巡らせる。

Snow……ごめんな、俺、男じゃなくて。
ちゃんと夫婦になれなくて。



今は気持ちが落ちてるけれど、明日になれば楽になる。
いつもの事、いつもの事さ。
今は俺にできる事をしていけばいい。


例えば、今よりもっと彼女を大切にするとか。

他にも幸せは沢山あるよね、二人で居るんだから。



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